コラム

CTOがもたらす企業価値とは?定義や必要性、採用時のポイントを解説

2021年11月12日
エンジニアの種類

CTOとは、Chief Technology Officer(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の頭文字を取ったワードであり、「最高技術責任者」と和訳されます。科学・情報技術や、研究開発など、技術を有する役務領域の統括ポジションとして位置づけられています。

しかし、CTOを設置している企業はまだ多くはありません。結論からいえば、将来の技術力競争を見据えると設置は前向きに検討したいところであるといえますが、その必要性に迷われる方も少なからずいらっしゃると思います。

そこで当コラムでは、改めてCTOの役割からその有用性、さらに誘致時に留意しておきたいポイントについて解説します。

CTOの主な役割・仕事内容

◇経営戦略の方向性決定

たとえば、新技術を取り入れた事業立案時には、技術的な実現性の見極めや必要コストの概算などが不可欠です。これらを実行するために、技術・経営双方の知見をもって戦略立てやアドバイスを行うのがCTOです。「経営戦略の意思決定に直接関与する」という点において、他技術部門のマネジメント職(例:テックリード、VPoEなど)との位置づけを分ける点でもあります。

◇技術開発の責任者

もう一つの役割として、現場のマネジメントが挙げられます。研究開発・技術部門のトップとして、円滑なチーム運営を推進する役割です。具体的な仕事内容は、主に下記2つに分かれます。

・プロダクト開発の責任者

プロジェクト全体の進捗管理や技術指導、コスト管理などが該当します。各プロジェクトをミクロに動かすというよりも、全体の動きを俯瞰して捉え、方向性についての指揮命令を出すことがミッションです。

・エンジニアの育成・採用

「ヒト」のリソースを適切に分配することも、CTOの仕事のひとつです。各プロジェクトの補填から能力育成、エンゲージメント向上など、人事と連携しながら舵取り・環境整備を行います。

CTOとCIOの違い

混同されやすい単語として挙げられるのが「CIO(和訳:最高情報責任者)」です。実は双方ともに、国内では明確な定義がありません。そのため、上記はあくまでも企業運営上の便宜的な呼称であり、役割の線引きは各会社によって異なります。

あえて位置づけの傾向として違いを挙げるのであれば、CTOは「研究開発・技術部門」の現場を総合的に統括するポジション(マネジメント寄り)、CIOは「情報システム(IT技術)」に特化し、同領域の取組を全社的に推進するポジション(技術アドバイザー寄り)となります。ただし、情報技術を強みとする企業では、CIOCTOの役割を兼任しているケースも珍しくありません。

CTOの必要性

CTOの設置を推進すべき背景に、MOT(Management of Technology)の導入があります。

MOTとは、平たくいえば技術開発によって、企業価値や利益を生み出す経営方針のことです。経済産業省は、国内の技術競争力とMOTの必要性について、次のように述べています(※1)。

研究開発テーマが事業化に至らず、「死の谷」と呼ばれる実用化段階で埋没、眠っていると回答する国内製造業は約8割に達する。我が国のイノベーションを加速し、産業競争力の強化を図るためには、研究開発への投資だけでなく、技術成果を事業に結び付け、経済的付加価値に転換するマネジメントが重要である。

※1…出典:技術経営(MOTとは)(経済産業省)

日本の技術力は、世界と対等もしくはそれ以上に渡り合える強みとして評価されています。しかし、その高い技術力も事業化せず埋没してしまえば、結果として、その開発期間やコストが無駄(=経済的損失)となってしまう、ということです。

こうした事態を防ぐための考え方がMOTです。MOTの最大の目的は、事業創出のために適切な投資判断と利益の最大化を図ることにありますが、そのためには技術と経営の知見、双方が欠かせません。その点において、CTOはMOTを実現するための人材として適任といえます。

現状、MOTを導入している企業が多いとはいえません。しかし裏を返せば、現時点でCTOの設置およびMOTを推進することにより、他社との経営戦略に大きな差をつけ、今後ますます熾烈化する技術力競争を勝ち抜くためのアドバンテージに昇華できるといえるのではないでしょうか。

CTO設置に立ちはだかるハードル

CTOの有用性についてご理解いただいたところで、ここからはCTOの設置について、挙がりやすい課題と、その対策について解説します。

まず、前提としてCTOの市場価値は高く、育成・採用ともに困難となりやすいのが現状です。その理由は、以下の通りです。

◇CTOに求められるスキル

はじめに、CTOとなる人材を育成する場合のケースを想定します。CTOを務めるためには、大きく分けて下記3つのスキルが求められます。

  • 開発スキル(プログラミングの知見、プロジェクト管理経験)
  • 経営スキル(リーダーシップ、マネジメント経験)
  • リサーチスキル(技術、市場トレンドの知見)

上記は、一般的に後述のキャリアを経て会得していきます。

◇CTOへのキャリアパス

  1. ▼エンジニア(プログラマー、テスターなど)
  2. ▼チーム/プロジェクトリーダー
  3. ▼プロダクト/プロジェクトマネージャー
  4. ▼CTO

上記は社内の人材を昇進させて設置する場合の一例です。いずれも決して一朝一夕に務められるものではなく、どんなに優秀な人材であっても、1~2年程度の短期間ですべてを網羅できることはまずありません。CTOレベルの人材を育成するには、数年単位の期間を見据える覚悟が必要です。

◇CTOの採用における現状

では、中途採用を行う場合はどうでしょうか。経産省が2019年に発表したIT人材需給の試算(※2)によると、2018年時点ですでに22万人のIT人材不足が発生しており、そのギャップは成長し続けています。いかにIT人材そのものの獲得がレッドオーシャンであるかがお分かりいただけるのではないでしょうか。

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※2…出典:IT人材需給に関する調査 (経済産業省)

エンジニア市場そのものが売り手市場となっているうえ、前述の通りCTOに幅広いスキルが求められる以上、CTOの獲得におけるハードルの高さ・熾烈さは想像に難くないでしょう。

◇CTOの年収相場

もし仮に、苦戦することが分かっていても、他社との採用競争を競り勝ちたいということであれば、相応の年収相場が必要となります(詳しくは、当サイトコラム「企業がエンジニア採用で苦戦している理由とは?成功のためのポイントを解説」を参照ください)。

CTOの年収相場は、一説として800~1000万円強が相場と言われていますが、実際は与えられる役務と位置づけによって異なります。経営戦略の根幹を担うポジションとみなされ、役員陣と同レベルの報酬を支払う企業もあれば、現場リーダーレベルとしての認識・報酬に留まる企業もあります。

なお、参考として、転職サービス「doda」が2020年発表したデータ(※3)では、プロジェクトマネージャー時点で平均年収が664万円とのデータが出ています。CTOはプロジェクトマネージャーの上位キャリアパスとして位置づけられるため、原則この値より下回ることは現実的でないと認識しておきましょう。

※3…出典: 平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】(転職サービス「doda」)

CTO設置でお困りの際は

ここまで、CTOの必要性と、設置に伴うハードルについてご紹介しました。おそらく読者の皆さまの中には、CTOの設置について前向きに検討したいものの、育成に時間・負荷をかけられない、というお悩みを持つ方もいるでしょう。さらに採用においても、そもそもCTOたりうる人材との接点が創出できないケースや、CTOの雇用に伴うランニングコストへの懸念などの課題が立ちはだかっているケースもあるのではないでしょうか。

もし上記の課題をお持ちの場合、ぜひ検討視野に入れていただきたいのが「社外CTO」の存在です。社外CTOは文字通り、社外から誘致するCTOのこと。必要な期間に絞って誘致できるためランニングコストの負担が相対的に削減できるだけでなく、育成時間がない場合や、技術導入において経営課題の突破口をスピーディーに導きたいときの一手として、非常に有効といえます。

なお、フリーランスITエンジニア専門エージェント「i-common tech」では、プロジェクトマネジメントからコンサルタント、開発スキルに至るまで、幅広い経験・スキルを有した人材が活躍しており、社外CTO誘致の接点創出から、そもそもの前提として自社にCTO設置が必要なのかといった前提のご相談まで承っています。獲得の難しいCTOたる人材の設置を適切に進めるうえで、ぜひご活用を検討ください。

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